可視光通信…菓子交通神?お菓子と交通の神じゃないって

可視光通信とか眼や光にまつわるもろもろ

故郷から1.3光年

※タイトルは、あまり意味なく、ジェイムズ・ティプトリー・Jrの「故郷から10000光年」より

うほ、気づけばなんと、前回のエントリーから1.3年以上開いてしまいました。
書くネタはあったのですが・・・どういう訳か自分の中の可視光通信が忙しくて、間が開いてしまいました。またポツポツ復活したいと思います。


ってことで、久しぶりの記事としては、総括ネタとして、ざっくりここ1年の可視光の話題を独断と偏見と寡聞にもとづいてトピック拾ってみましょう。
特に順番に意味はありません。独断と偏見と寡聞に基づいていますから、くれぐれも眉唾な個人的総括であることはくれぐれもご承知おきください。… それではいってみましょう。


1.スマートフォンを使ったイメージセンサ通信が台頭!



本気でスマホが普及し始めているせいか、今年以後に、スマホのカメラを使った可視光イメージセンサ通信の応用の発表が相次ぎました。
(※MITさん、富士通さんのやつともに、とりたてて「イメージセンサ通信」とはいっていません。MITさんにいたっては、「可視光通信」という言い方もしてませんが、可視光通信イメージセンサ通信ウォッチャーの私からみれば、アカデミックな意味において、可視光通信ですし、イメージセンサ通信に入れさせて頂きます。)

1-1.ピカピカメラカシオ計算機 
iPhoneアプリリリース済 4/25  (技術発表は2012年 1月のラスベガスCEショー)
 スマホのカメラのレートに合わせて、超低速の色変調を検出するイメージセンサ通信のアプリです。以下は2012/6月の幕張で行われたロケーション・ビジネスジャパンのときにDigiInfoさんに取材していただいたときの動画です。
あからさマーケティング恐縮ですが・・・

端末ディスプレイの点滅で自分で送信できるところも特徴。あからさまに情報出しているマーカー個々が情報発信自体のアイキャッチになることも狙いっています。
伝送情報量が少ないので、ID番号を認識すると、位置情報と組合せてコンテンツをひもづけるクラウドサービスと問合わせて、表示するところがミソです。全体としては実は可視光通信よりクラウドのところをがんばってたりします。
とにかく、これ、(私完全に中の人なんで、あからさマーケティングとなりますが)まだかなり荒削りだけど、これ恐ろしいポテンシャルじゃないでしょうか。中の人達も頑張っているようなので、まったり生温かく見守っていただければとおもいます。


1-2.News Flash(MIT Media Lab)

技術発表のみ。ディスプレイにスマホ(Andoroid)のカメラを向けてスクリーンの点滅に込められた情報をカメラで受信します。
表示の変調として、緑っぽい色とピンクっぽい色でバランスさせて人の視覚では、白に見えるようになっていて、変調を不可視にする工夫をしています。
単一マーカというより、スクリーン=>カメラという情報の伝送を狙っているようです。どうも時間方向でなく空間方向にも変調しているも見えたりしますが、動画とサイトの解説はいっさい細かいこと言わないし、論文を探したのですが見つからないので、変調の詳細はわかりません。


1-3.富士通研究所 「映像を媒介した新たな情報通信技術」 (?名称不明)

技術発表のみ。先日のCEATECにも出てました。電子透かしと可視光通信の特徴を合わせた技術です。
電子透かしの変動を時間方向行なって、スクリーンの表示全体で情報を送る感じで、これも、可視光通信ではあるが人には伝送を不可視にする工夫をしています。伝送情報量自体は16bps 程度らしいので、ピカピカメラと同様にネットワークとの連携した形で実用システムにしていくようです。
これも、単一マーカというより、スクリーン=>カメラという情報の伝送ですね。



2.水中に宇宙に、展開する可視光通信



陸上でだと、近傍無線とどう違う?赤外線と何違う?って突っ込みに答えないといけないのが、可視光通信の宿命なのですが、水中は電波が通じませんから、シンプルに通信ができるってだけで、成立します。

水中可視光通信といえば、以前より注目されていた沖縄のベンチャー、マリンコムズ琉球さんが、ビジネスをスタートさせています。変調はたしかアナログベースだったとおもいます。
株式会社マリンコムズ琉球

また、9月には、やはり水中可視光通信を東洋電機が技術発表しています。こちらはデジタルで 10Mbps@30m(プール)とのこと。CEATECにも出展したいたようです。
東洋電機、水中で可視光通信−双方向で映像・音声
東洋電機公式サイト CEATEC出展情報

そして、宇宙です。JAXAの相乗り小型衛星プロジェクトでは、2つの可視光通信対応衛星が名乗りを上げています。

Jaxa産業連携センター> 相乗り小型衛星 > 打ち上げ予定・実績・リンク

可視光通信実験衛星/国立大学法人 信州大学(【H25年度打ち上げ】H-IIA・「GPM」に相乗り)
FITSAT-1/福岡工業大学(【平成25年度打ち上げ】H-IIA・「GPM」に相乗り)

宇宙で可視光通信。胸熱です。ヤクト・ドーガが宇宙で光音声しゃべるのもすぐそこです。


4.可視光通信の標準のゆくえ(2011年9月にリリースしたIEEE802.15.7はどうなった?)



 もう1年たってしまいましたが、実は可視光通信の国際標準、IEE802.15.7の標準が2011年9月にリリースされました。
802.15.7-2011 - IEEE Standard for Local and Metropolitan Area Networks--Part 15.7: Short-Range Wireless Optical Communication Using Visible Light
韓国開発の可視光通信技術、世界初の標準化に成功(2011/08/18の記事)

まあ、私このIEEE802.15.7 TGの会議は、一昨年、ハワイ、アトランタ、ロス会合に、連続して出席したりして、なんどか、標準化会議に2回ほどたどたどしい英語プレゼンをやったりして、少し参加し、いろいろ経緯も知っておりますが、個人的な感想的になってしまうのでここではひかえましょう。

…対応品でませんねぇ。
重要技術領域としてやや先行してリリースしたものの、標準化された国際技術としては、やはりなにかもう一皮むけないと・・・ということでしょうかね。まあ、あんまり日本勢としても、ましてやイメージセンサ通信陣営としては、あまり気にしなくて良い規格であります?ということかも。

とにかく標準化の国際会議プロセスに一時的にせよ参加して、いろいろ本当に勉強になりました。国際標準化舞台での政治的鞘当てなんかも、当事者として体験出来たりして勉強にもなりました。機会があれば、また、こういう最前線で闘いと協調、殴り合いと固い握手をがっつりできるような活動してみたいものです。

なお、国内の事例だと、JIETAの可視光通信標準(4.8kbps)は高速が必須でないシステムだとよく使われるようです。


番外:



実用化への動きだと、アウトスタンディングテクノロジーさんは、ふうつうに可視光通信商品売りだしてたり、[http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/2012/07/jn120711-3/jn120711-3.html:title=パナソニクさんが可視光通信システムを、ナガシマスパーランドの『ポケモンアドベンチャーキャンプ』に収めたり」たりと、商売的な動きも、いろいろとあったりもしましたが、このあたりは、また別の機会に。

あーあと、Microsoftイマジンカップ国際大会で、日本代表で参加チームのうち東京高専のチームが可視光通信を使った提案がソフトウェアデザイン部門で、堂々の見事2位になったのも相当嬉しいニュースでした。
東京工業高等専門学校 Coccolo「All Lights! 〜可視光通信による省電力照明システム〜」
若い女性の学生さんが可視光通信取り組んでるのを見たりすると、つい、QB声で「僕と契約して可視光通信少女になってよ」と変なセリフが聞こえたのは私だけ?