可視光通信…菓子交通神?お菓子と交通の神じゃないって

可視光通信とか眼や光にまつわるもろもろ

巡子さんは可視光通信の夢を見るか? -海保フェア-

2010年10月2日に、東京都立川市海上保安庁試験研究センターで行われた、「海保フェア」の可視光通信の技術展示で少しお手伝いをしたので、その報告です。

●海保フェアの概要

海保フェアの案内ページはこちら

当日は、大変気持ちのいい秋晴れに恵まれました。写真はちょうど開場時間あたりの模様。開場前にも数十人は並んでいました。まあ、来場者は基本的に一般の方々です。

道の向かいでは、各地の刑務所作業製品展示・即売や取り組みの展示が行われる、「矯正展」が開催され、海保フェアは開所始まって以来の入場者だったそうです。(海保の方の話だと、二千何百人と仰ってました)

建物に入ると、いきなり待ち行列海猿の影響か、海保グッズ売り場混雑。その後の海保さんのいろんな制服をコスプレして記念撮影コーナーは超混みでした。



で、そういう最初のいくつかの展示や出しものが出てる(おそらく事務関係や会議室の)建物を抜けて、研究、実験棟へ。
ここがうちの試作が展示された、「加工室」って部屋の入り口に鎮座する灯台の灯火。直近で見ると強烈にまぶしい。




で加工室に入った感じがこう。加工室の中には灯台用の前記の灯台向けの巨大なフレネルレンズをつくるとことかがあり、また歴史的な灯台の展示上と工作機械が乱雑に(失礼!)散らばってる工場みたいなスペースが展示場に仕立てられています。wikipedia:フレネルレンズ

この写真にも写っていますが、なんかファミリーとかこの手が好きなオッサンの他に、若い女性のお客さんがちらほらと、意外な割合、そうコレが巡子さん。やはり巡子さんは、海保フェアのような渋いイベントにも来ているようです?
『海保』にひかれる“巡子”とは

さて、この海保フェアでは、フォトダイオードを使った可視光通信と、イメージセンサをつかった可視光通信イメージセンサ通信:ISC)の2種類、合計3展示が行われました。


イメージセンサ通信の展示について
この加工室には、2展示が行われ、そのうち一つが、うちの試作を使っていただいたイメージセンサ通信。まず、イメージセンサ通信の展示全景はこういう感じ。(お客さんが入る前の様子です)

風景パネルに、2つ、左右の灯台ジオラマに2つ、合計4つチップLEDを仕込んでいます。パネル内の左の緑のブイ、右側の赤の小型灯台です。(ちょうど消灯タイミングで撮ってしまったようです)
灯台と同じ点滅パタンの中に、灯台の名前文字コード列を送信しています。(変調周波数は2kHzちょっと。見た目にはふつうの灯台の点滅です)
ご覧の距離の中で、3mm角ほどのチップLEDが光源ですから、まあ本物のサイズと距離に対してまあまあ、似ている視角度です。実際に、この試作機は九十九里の2km実験に使ったものと同じものです。

で、手前の三脚の上に、受信機としての、イメージセンサ通信試作機+PCが置かれて、自由に首振りが出来るようになっています。通信関係の処理はぜんぶカメラでやるので、PCは表示に使っているだけです。この背中側に、イメージセンサ通信の試作モジュールを配置、接続し、端末をふって、カメラで灯台のほうに向けると、通信受信すると、「ピッ」っと鳴って画面に表示されます。なので、見た目の灯台の点滅に合わせて、「ピッ」っと鳴って、表示に受信した文字が出るという動作です。

右上に、一瞬で受信した「出雲日御碕灯台」 という文字列が出ています。来場者の方の中には、さすが海保に来る方だけあって、このジオラマ見た途端に、「あ、いづもひのみさき灯台ね」と、たちどころに分かる人少なからず。










来場者の方への説明風景


まあ、間に合わせの試作で、性能や使い勝手上いろいろ課題ありなものでしたが、例えばモニタ画像の表示がけっこうまったりなとことか、逆にお子様たちは、面白がってくれました。





なお、一般の方への説明方法で、「目に見えないカメラの高速点滅のオンオフでデジタルデータを載せます」というと全然伝わらないのですが、「ものすご〜く早く、モールス信号送ってます」というとなぜか、「ああ」とわりと簡単に理解してもらえることを発見。

「ONとOFFだから1と0」といっても、また、「デジタルデータ」って聞いたことあっても、そもそも文字が1/0になるって腑に落ちた理解には、一般の人は、実はもってないんでしょうね?
前に別の記事で書いたと思うけど、「なんで、電波でも赤外でもないのにデータ送れるの?」って言われたこともあるし。


とにかく、ここがわかってもらえれば、
そのものすご〜く早い点滅を、ものすご〜く早く1秒に何千枚もカメラで見るんです」っていえば、「なるほど〜」と。 で、「ちょ、なにそれ、1秒に何千枚?」と、ここは期待通りのリアクション。

まあ、とにかく業界の方向けの展示会だしたことありますが、「このビットレートではアプリが…ビジネスモデルが…消費電力が…どうの」と、いろいろ突っ込まれるのですが、「きゃ〜面白〜い。早くケータイに入ると面白そ〜」と親子連れとか、巡子さんとか一般の方に、さらっとこの技術が理解いただけて、期待もしてもらえることがわかり、非常に楽しい展示説明ができました。


●その他の可視光通信

と、私が絡んだ展示はここまで、海保さんのその他の可視光通信展示をご紹介。

まず、その1が、同じ加工室でやっていた別の展示です。実際の海上ブイを高速で変調して、それをフォトダイオードを使った受信機でうけます。双眼鏡の片側に入れて、双眼鏡で覗いてブイを画角に入れると、その通信結果が傍らのPCに表示されます。通信速度はイメージセンサのやつよりはぐっと早く、数kbpsくらい。
ただ、高速かつ現実的で良い構成なんですが、実際はこのセットで長距離を達成するのはまだ課題があるそうです。

その2が、他の記事にも書いた海流水槽を使って、波でゆらした海上ブイ模型からの通信を飛ばすものです。受信機は上記と同じ、双眼鏡に仕込んだフォトダイオード。これは、来場者が自由なメッセージを指定してそれをその場でデータブイの光で飛ばして受信機に送り、上のプロジェクタ画面に文字列がでるという形でデモしていました。
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なお、このイベント、うみまると、う〜みんにも会えたのです。(写ってるのは別に私の家族じゃないです。屋外イベントの音楽隊ファミリーコンサートの風景より)


タイトルは、映画「ブレードランナー」の原作、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」(P.K.ディック)より。wikipedia:アンドロイドは電気羊の夢を見るか