テクノ手芸と可視光通信
11月20・21 東京大岡山の東工大で行われたMTM06(Make: Tokyo Meeting06) に行って来ました。
いつもMake:は気にしていたのですが、恥ずかしながら初めての参加です。
とにかくいろいろ、面白かったり、感動・感服炸裂の素晴らしいイベントでした。
まあ、いろいろ感じたところはあるのですが、
この記事では、特に、「テクノ手芸」の話題を取り上げます。
というのも、テクノ手芸ゾーンの MechaRoboShopさんのブースで、LEDを使ったテクノ手芸のキット、アニオマジック・スキーマのセットを買ってきたもんで。
http://www.mecharoboshop.com/mtm06/
LEDを4つ、メインのコントローラであるスキーマ1つ、音に応じて発光を制御できるマイクセンサと導電糸のセットです。しめて、¥5千ちょっとでした。(そのうちで値がはるのがスキーマが¥1980、サウンドセンサーが¥1450)
まあ、テクノ手芸ファンというより、採用技術に惹かれて衝動買いなんでちょっと不純なユーザ・・・
・アニオマジック・スキーマ の概要
このスキーマですが、手芸の人がLED(とセンサ)を使った部材を使えるように、いろいろと考えています。
1.回路は、導電糸で縫う。
2.LEDなどの部品は、バス化されている。
ID付与されたLEDパーツでレイアウトを考えればよいだけ。
3.LEDの発光パタン(やセンサへの応用)は自由にプログラムできる。
・・・そして、・・・
4.これがすごい−1
開発環境はクラウド!!(と言っていいと思う)ブラウザで発光パタンや速さ等々を選んで、書き込むだけ。ソフトのインストールは一切無し。
5.これがすごい−2
書き込みのワイヤレス方式は・・なんと、可視光通信(と言っていいと思う)ワイヤで繋ぐ必要も、無線のチャンネルを合わせる必要も、ペアリングの設定なんかもない! ディスプレイが送信機になるのです。
この可視光通信によるプログラムの様子は、下記のMechaRoboShopさんのYoutube動画で見てください。
画面の点滅パタンを光通信としてディテクターで受信させます。
このアイディアでは、90年代に「Timex Data Link」という、MSとTimex共同で開発された、Outlookのデータを腕時計に入れるというのがありましたねぇ。持って無かったけど、ちょっと欲しかった。
あれは、今考えれば、いわゆる情報端末機器との通信で、データ量も少ないとはいえそこそこだし、非常に固定的な通信関係だから、あんまり、光通信である本質的な必要性はなかったわけです。おそらく当時の技術、コスト条件で、伝送データ量とワイヤレス実現コストのバランスポイントではあったのでしょうが。後知恵で言えば時代の仇花だったのかも。(まあ、そもそも、スケジュールなどを「意識的にSyncする」ってのが、考え方間違ってるが。)
でも、こういうふうに手芸品の一個一個とか、電波通信するのに設定とか通信時の相手の指定面倒です。(ペアリング設定問題、通信対象指定問題)だから、これから、ちょっとだけ賢くてちょっとだけのデータを扱うものがあふれる時代になって、こういうちょっとした通信という意味で、可視光通信もあたりまえに使うという時代が来るのかも。
・テクノ手芸に挑戦!
いくら可視光通信書き込みが気に入ったと言っても、手芸品になっていてこそ、意味があるというものです。てことで、さっそく、製作入に挑戦。
まずターゲット。服とかカバンとかも考えたけど、いちおう冬だし、日常使う手袋に決定。
次は構想設計。基本的に「インアウト」とかのパタンがあるので、IDの並びを意識します。
一応こんなレイアウトに決定。
必然的に内部の配線は、このようになりました。
(後で追記:よく見たら、センサマイクとLEDのバス少なくとも内側ラインは一筆書きにする必要ないですね。抵抗値も高い糸だし、内側ラインは、中央のスキーマの端子からセンサマイクとLEDの方に枝分かれさせたほうが、糸も少なく、縫う距離短く、抵抗も小さくていいことづくめな気がする。)
で、私も、間に合わせのボタンつけ位は出来ますが、少しでもしっかりつけようと思い、夕食のカレーなら俺がつくるからと、妻に依頼。
「糸だけど配線だから、接触させちゃ駄目ね、この感じでお願いします。」と図面引き継ぎ&作業指示。
途中、一部の配線ライン終わったところで、途中チェック。未配線のところは、直接ふつうの配線コードなどでつないで、手芸回路側の配線が異常ないか確認。
(手付け半田付けの作業でも、こういう風に、中間段階で、ショートや不導通無しを、確認します。テクノ手芸でも基本でしょうね。)
後述のショート等トラブルありましたが、完成して動作チェック。やった!
これは、iPodtouchのSafariから書き込んでいる様子です。もちろんPCのブラウザからもできます。
点滅スピードからいくとおそらく送り込んでいる情報量は数十Bitと思われます。
・テクノ手芸やってみて思ったこと
いきなり妻に頼み込んだので、素人さんが陥る手芸回路制作上のならではの事がありました。 (もしかするとこれ、MechaRoboShopさんのサイトとかマニュアルとか(当日品切れ?で、もらえなかった)に書いてあるかもの、言わずもがなポイントかもしれませんが。)
1.配線(縫製)の美観優先はちょっと後回しにしたほうがいい
自分がやったら、接触しないようにマージン取って遠回り気味にやるようなとこも、手芸経験者であるがゆえに、手芸としての美観で経路を決めたりされて、少しショートのもとになりました。見えないところは十分離すみたいなことはいるとおもう。
2.極性を間違われる
図面を渡して、「電気回路だからね」っていってたのに、いつのまにか、「こっちで繋いだほうがいいから」って回路を変えられた。(^^; 電気回路である意識はちゃんとしないといけないですね。「むき出しの配線だ」っていってるのに、経路を交差させようとした場合もありました。じっくり説明しないでいきなり、やらせる私も悪い。と言われた。
夕飯作ろうってところで、バタバタと発作的に頼んではいけません。
3.実は配線デバッグはちょっとやりやすい
ショートのところですが、カレーづくりに夢中になっているうちに、途中チェックをいれずに、あっと言う間に妻が仕上げちゃったのですが、上記1.2.のトラブルがありました。つまり、「終わったー」と思ったら、ぜんぜん動かない。つか、ボタン電池熱くなってる・・・という感じで、仕方なくテスターで導通テストすると、LEDつなぐバスの抵抗がゼロ!
(;_;)
で、テスター当てまくってショート箇所をチェック。ここでひとついい事が。この電動糸「10cmあたり7Ω」と比較的抵抗が高いので、ショート箇所は特定しやすかったです。ショート箇所から遠いと、抵抗がでかくなっていくので。
4.糸の終端に注意
で、原因は、接続違いもあったのですが、ショートの原因は、糸の末端を止めるためのダマ、ちょっとヒゲがでますよね。これが基盤裏に回りこんショートしてました。
(これは、「手芸用ボンドを使うと良い」と、@aniomagic_jpさんより、Twitterで御教授頂きました。確かに)
でもこれ、製品として改良したほうがいいと思うのですが、基盤の裏がむき出しなんですよね。妻としては、末端のヒゲは裏に突っ込んで見た目をごまかしたみたいにしちゃったのですが、これで、基盤裏の端子にショートしてたようです。まあ、手芸回路の配線原則に従いやって、末端も手芸ボンド使うと防げると思いますが、基板裏は出荷時に絶縁テープなり(できればモールド)したほうがいいと思いました。
なお、このショートトラブルの間って、ときどき動いたりしたので、とにかくブラウザ書き込みだけやっちゃってみようとしましたが、なかなかうまくいきませんでした。
電圧が不安定だとギリLED動くけど書き込みできないとか?あるのかも。
まあ、ちゃんと回路デバッグ終わったら、ブラウザからの可視光通信書き込みは、うまくいきました。
マイクセンサーの設定はいろいろやったけど、いい感じを設定するのは難しくて、まだ、いい感じがわかりません。
ブラウザも、たまに書き込み失敗します。まだ、コツつかんでないかも。
・実使用感
さっそく完成次ぐ日、会社から帰りながら夜の道で、左手ピカピカさせて帰りました。安全的には有効かも。
あいつは、マイケル・ジャクソンか!(白手袋でないけど)、ドクターアダーの閃光グラブか! って感じになり切って、闊歩。(そういえば、ドクターアダーって今絶版?発禁?らしいですね)
たまーにすれ違った人にどん引きされてる?とかビビりながら楽しく帰れました。
家族はみんな「いつ使うの、まさかいつでも光らせてるの?」「友達に見せるだけだよね?」って心配してた。