可視光通信…菓子交通神?お菓子と交通の神じゃないって

可視光通信とか眼や光にまつわるもろもろ

ガンダムと可視光通信

さて、ガンダムの話です。

へたにネットにまとまった文書を載せるのもビビる大作。しかし、可視光通信を語るならやはりガンダムを抜きにはかたれません。
そもそもガンダムファンの立場では、「可視光通信とは」ときたら、「ミノフスキー雰囲気の宇宙空間における唯一の無線通信」といいたいところです。


なぜって、このアニメでは、戦闘においてロボット同士が接近した白兵戦を行う説得性を出すために、<可視光以外の電磁波を撹乱してしまう>「ミノフスキー粒子」という架空の粒子が発見されたという設定を設けています。
そのため、この世界では、戦闘においてはこの粒子をまいて、無線誘導兵器やレーダーの利用を困難にするのが基本戦術であるため、ロボットに乗り込んで目視つまり可視光での白兵戦を必然とするという、実にまじめな基本設定があるのです。


(#もっとも、そんな巨大ロボットに乗る意味付けだけだったミノフスキー粒子も、いろいろなつじつま合わせに、ニュータイプの知覚についてまで説明する相当巨大な理論体系にまでなっているようですが・・・・・ wikipedia:ミノフスキー物理学
※権利確認よくわかんないので、http://spinal-column.jugem.jp/?month=200907のミノフスキーの画像をもとに、クリエイティブに手書き模写してみました。このサイト「ミノフスキー」の名前の由来とかあって面白いです


とにかく、可視光通信業界でよく問題になる、「それって電波でやればいいじゃん!」という悩めるツッコミ(※1)をゆるさない、すばらしい世界。さぞかし、可視光通信の天国が描かれているとおもいきや・・・・
・・・・ 惜しいよ、惜しすぎるよ!ガンダムワールド! 実は、ぜんぜん可視光通信使ってない!   
それらしく、光を通信に使う場面だと、発光信号での<目視の?>光モールス
。。。。_| ̄|〇 残念です。


しかし、まあ、無理もないのです。2010年にこんなこといってる私も、可視光通信だ! と思って今のテーマの取り組んだのが、21世紀に入ってから。それでようやっと、自然に、「ミノフスキー粒子があればなぁ」と思うわけですが、ファーストガンダムは1979年ですからね。
1979年というと、赤外リモコン自体もまだめずらしい(始めて国内で商品が出たのが1977年。 ほぼあたりまえになったのが、80年代以後)
(なお、光リモコンは実はまず可視光だったようですが、外乱ノイズに弱くて、室内では比較的安定して外乱レベルが低い赤外になったようです。) wikipedia:リモコン

ちなみに、まだIrDA(1983年に商品出始める)もレーザ光を使った空間光通信(1993年に赤外光LANの製品)も影もないから、可視光でデータ通信が行えるという感覚自体、さすがのガンダム設定にかかわったスタジオぬえさん等々も、可視光通信まではさすがに思いいたらなかったのかも。
逆に初期ガンダム可視光通信が当たり前にカッコよく物語で使っていると、アトムとガンダムがロボット科学に与えた位のインパクトを通信業界に与えていたでしょう。


ということで、まあ、ガンダムで重要な技術アイテムになっていいはずの可視光通信は、あまりフィーチャされてませんが、仕方ない。作品の偉大さは微塵もうるがないし、後知恵で偉ぶるなってことです。
こういうことは、「2001年宇宙の旅に、ノートPCやPDAが出てこなくて、残念ながら当時のメインフレームの時代背景から抜け出せてない。」などとしたり顔で解説してるくらい恥ずかしいことですね。 反省。


話を戻して、
そんなガンダムですが、長いシリーズで、もちろん時代とともに技術の進歩をとりいれますので、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア【98年】」あたりになってくると、スタッフの技術感覚の進歩を反映して、もろ、可視光線通信で会話するシーンがあります。

敵のモビルスーツからのメッセージが、モビルスーツの目の光の点滅で送られる場面ですね。
(ヤクトドーガ−ギュネイ と Vガンダムアムロ の会話のところ、なんかはっきり聞きとれないけど、「光音声?」とかいってる。)これはまごうことなく、文句なく、可視光通信です。完璧。
 
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
1h18m35sあたりのシーン。

ギュネイ: 「アムロってんだろう、ガンダムパイロット!」(モビルスーツの口元ピカピカ)
アムロ: 「光音声!」
ギュネイ: 「ガンダムを放棄すれば、このパイロットは返してやる。」

wikipedia:機動戦士ガンダム_逆襲のシャア
※権利確認めんどうなので、該当場面をクリエイティブに手書き模写してみました。


ただ、よく見てると、しゃべった通りに強弱点滅してるから、「おいおい、その時代にアナログ変調か!」とツッコミかけましたが、いやいや、ガンダムの技術設定スタッフが、アナログ変調しか知らないというなどとそんな薄っぺらい設定のはずがない。
おそらく、このガンダムの世界では、真空ミノフスキー粒子下の、非常に基本的なコミュニケーションに可視光通信のアナログ通信モードは必須。
当然モビルスーツには、(敵味方問わず)基本的にこの通話装置およびモードを常備という前提でしょう。
(あたかも、拡声用スピーカをを標準装備するかのように)
もちろん、デジタル暗号化されたモードもあり陣営ごとに異なる暗号化なのです。でも、たまたま、そういう可視光通信場面は省かれているだけ。
でともかく、このシーン(暗号プロトコルが異なる)敵対する軍同士で、宇宙空間で直接対面ですから、この汎用アナログモードでの会話となったわけです。そうだ。そうに決まっている。
(あ、絵的に、しゃべりの強弱で光らせないと通信の感じがでないから当然こうやったという、つまらぬ大人の事情はここではスルー)


は(!_!)そういえば、古いガンダムの中でも、たとえば、「至急連絡しろ!」という台詞の次に、画面の切り替わりで、宇宙船の艦橋が輝き出したりしてるけど、あれは、可視光通信でデジタル通信やってるんだ!
そのときも、レーザビームの可視光通信だと、相手の位置を正確にしらなくてはいけないけど、比較的ブロードな角度で発光していれば、その範疇に存在する受光側はもちろん[ISC]([イメージセンサ通信])で受信ね。これ当然。(すでに全周囲で発光する300カンデラ海上ブイの光を2km先で受信する実験は成功しています。  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/23/22870.html

さらに、は(!_!)そういえば、やっぱり古いガンダムでしょっちゅうあるのが、「退却の発光信号だ! 引き上げるぞ」とかの場面。あれ人が目視でやってたと思ってたけど、絵的に省かれているだけで、あれは高速可視光通信で受信した結果をしゃべっていたのだな。もちろん。
そういえば、モビルスーツ戦闘でも、「え?今のとこ画像認識使ったとしても・・・」という場面あった気がするが、あれもISCつかって、通信と位置把握を同時にやって戦闘してるとかんがえるといろいろ納得できる。

・・ということで、ガンダムには可視光通信、特にイメージセンサ通信は必須でした。という話でした。
今後のシリーズでは、もっとがんがんにフィーチャーしてほしいな。
特にISC(イメージセンサ通信)は、UI技術(特にAR系)であり通信技術であるので、今後の設定ではぜひ、熱烈採用妄想しているところです。


なお、もし、ガンダムに詳しい方で、「ここは、可視光通信でしょう〜」という具体的場面、思いついたら、教えてください。

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なお、ガンダム出てくる、光テクノロジー関係で、
コロニーや、ステーションから、宇宙船のドッキングのとき、「自動誘導の光ビームが横から見えている」という驚愕の物理現象があります。
宇宙には、大気中と違って散乱源ないし・・・・ミノフスキー粒子があふれてたって、可視光とは相互作用しないはずで当然散乱なんてないはずだし。光が横からみえるはずないのですが・・・・
<以前の文は、この後、複屈折についての間違いのたわごと書きましたが、完全間違いなので削除しました。>

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※1 これ、近傍通信だけを目的とする可視光通信で悩みです。なぜって、「情報を近くの相手に届ける」が目的なので、本質的な可視光通信でやる理由付けができないわりに、後発技術という立場の弱さがあります。
まあ、照明インフラの変化(LED化)がそれを補ってあまりあるというのが、この技術全体の論拠。
もっとも、[ISC]([イメージセンサ通信])だと、ユーザ体験が異なる(AR的な情報表示など)ので、こういうキャラのかぶり心配は少ないと思っています。