なんでこの周波数の電磁波だけが "可視"光?
さて、光も電磁波、電波も電磁波です。でも何か腑に落ちて納得できない感じです。
たぶん、電波と光が仲間と納得しにくいという理由は、光だけが「眼で見える」電磁波だからでしょう。
「光」という物理実体はなく、ただ、生物が感じられる電磁波が「光」なわけです。
正確には、生物の種によって『可視光』は多少異なり、赤外域まで見ている種もいれば、紫外領域まで感度があるものもある。しかし地球上の生物 はおおむね可視光帯を中心に利用しています。
なぜ、ずら〜とある電磁波のスペクトルの中から我々は、というか我々の祖先は、もしくは神様の仕様設計担当者は、この「350nm-800nm(400-500THz弱)」あたりを、感覚器として採用したのでしょうか?
なんか、電波を感じられる方が、なんかものを見通したり、ケータイみたいに離れて通信できて便利だったはずじゃん? みたいな感じもあります・・なんででしょう?
実は、その理由は生物進化の環境、地球の大気に関係があるようです。
地球の大気は図1に示すような、「大気の窓」と呼ばれる電磁波に対する伝播特性を持っています。
http://www.shokabo.co.jp/sp_radio/spectrum/radiow/window.htm のページから図を引用させていただきました。
地球の大気もいろいろ変化していますが、まあ冷えて地殻が安定し、植物が上陸して酸素を出し始めたあたりからは、だいたいこれです。
図中灰色の領域は太陽の輻射エネルギーのうち地表までで届きにくい領域です。こうしてみると、太陽が輻射するエネルギーのごく一部の帯域しか地表に到達しないこと がわかります。
地表に降り注ぐ電磁波エネルギーは、そもそも可視光帯領域とマイクロ波領域しか存在しないわけです。だから生物が進化するにあたり、周りを知るセンサー(=感覚器)に使えるエネルギーは、電磁波帯では、ここしかないわけです。
ただ、ここで、疑問が。
「あれ? マイクロ波あたりも降り注いでるぞ! なんで、生物はこっち使わなかったんじゃ!」 なんかマイクロ波の視覚があったら、もしかして、コレみたいに、楽しい透視能力もてるぞ! という妄想も広がります。
しかし、進化に関してはもう一点考えなければいけません。生物が水から進化したことです。
だから、水の伝播特性も見てみましょう。 図2が水の伝播特性です。
おお、もはや可視光しか使えません。
生物の進化の出発点で外界を知る電磁波エネルギーとしては、可視光しかなかったことがわかります。
これが、地 上に到達進化した種でもそのまま受け継がれていったというわけですね。
で、なんで地上に出た後、マイクロ波知覚が進化しなかったのは、私も不勉強でよくわかりません。
う〜んなんでなんでしょうね。 識者のかたのコメントや、snobiizへのつぶやきお願いいたします。
そもそも、この文章の考えはどっかに書いてあったわけでなく、断片情報からの私の推測を含みますので、その点も疑問ツッコミ訂正ありましたらご指摘お願いいたします。
追記:
なんでマイクロ波感覚は・・についてですが、追加の理由。
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/taikitotaiyoenergy.htm#%91%E5%8BC%82%CC%91%8B
山賀 進のWeb site --> ・・・われわれは何者か --> 第二部−3 大気と海の科学
ページ中央あたりの「大気による吸収」図参照
この図をみますと、大気の透過率と別に、そもそもの太陽の輻射するエネルギーの、波長に対する分布があります。
これを見ると、可視光帯に比べて、電波帯域のエネルギーは圧倒的に少ないことがわかります。
(黒体輻射の分布になるわけだから、太陽くらい熱いヤツの輻射エネルギーは、光波帯に集中するのは当然でした)
なので、なんで地上に上がった生物がマイクロ波知覚を発達させなかった理由として、
「- そもそも、降り注ぐエネルギーが光より微弱すぎて、感覚に採用するにはパワー不足」
というのはかなりありそうです。
可視光だけである理由に、水の透過率を重ね合わせるのは、われながらいいアイディアと思ったのですが、この、元の出力エネルギーの理屈だけで説明できそうな気もしてしまった。
ただ、可視光でも月明かりと快晴下の照度は数十dB(数十万倍)もの開きがあり、そこに対して視覚は弱い方の感度も対応できています。
この図ではせいぜい可視光の強さに大して 電波のそれは -20dBよりは大きいっぽいですから、まあ、不可能なレベルのエネルギーでもないとは言っておきましょう。